ブランメルの服装の特徴を分析しよう。後世まで絶大な影響力を及ぼした着こなしとはどんなものだったのか。今に伝えられる神話から抽出してみると、ブランメルがとりわけエネルギーを注いだ点は、次の三点にまとめられるかと思う。(1)装飾と色彩と無駄を極力抑制すること。代わりに、シンプルでも最高の素材を使い、身体に完璧にフィットするよう仕立てさせること。(2)清潔さの徹底。身支度に二時間かけ、オーデコロンすら使わない。シャツの白さを際立だせるために、カントリーでシャツを洗わせる(ロンドンの水や空気は白い衣類の洗濯環境として不適、ということか?)。ブーツにしても靴底にいたるまでシャンパンで磨き上げられていたと伝えられている。(3)ネッククロスの結び方には完璧を期す。軽く糊付けしてハリを出すという技を編み出したのは彼である。結び損ねた「失敗作」が山積みになるのは、完璧な傑作を生むためなら当然のこととみなす。そしてこれがいちばん大事なことであるが、これだけ手間ひまをかけた完璧な着こなしであっても、人から振り返られるようでは「失敗」ということになった。大変な努力で作り込むのは、あくまでも、さりげなさである。人に衣服の印象すら残さないようなこの印象づくりこそ、ブランメルが日々目指し、そして比類なき完璧さの域にまで高めたものであった。
大切なのは、着たときにあなたが思うイメージがその姿から感じられるか?ということです。洋服そのものを見るだけでなく、少し鏡から離れて全体の姿を見るようにしましょう。それがなかなか客観的に判断できない場合には、信頼できる人や好印象を残したい人物像に近い人に見てもらうのもよいでしょう。信頼できる販売員と出会うことができれば、欲しいものの伝え方を少し工夫するとマッチするものを選んでもらえるかもしれません。例えば、「紺のスーツを探している」というのではなく、「信頼できるけど、優しい雰囲気になるようなスーツで、できれば紺色」というイメージも伝えることで、提案の内容も変わってくる可能性があります。「外見コーチング」の最終目的は、ファッションではなく、あなた自身。あなたが外見で何を伝えるかを意識して、ビジネススタイルを作っていって頂きたいですね。それでは実際に、基本となるスーツなどの着こなしについてお伝えしていきたいと思います。
シャツの下にさらにアンダ・シャツを着るようになったのはいつ頃だろうか。いずれにせよ、一九三四年にクラークーゲーブルが映画『或る夜の出来事』の中で、シャツを脱いだら下にアンダ・シャツを着ていなかったといって大騒ぎになったが、あれはただ、本来のシャツの着方に戻っただけだったのである。シャツの清潔度の話に戻ろう。ブランメルが「カントリー・ウォッシング」にこだわったことからもわかるように、シャツの白さ、清潔さを常に完璧にしておくことは非常にお金とヒマがかかることなのである。白いリネンのシャツを買うということは、その白さを維持できる経済力がある、ということを示し続けることなのだ。とりわけ汚れがつきやすい襟、袖口を常に完璧に清潔にしておくことは、何よりもわかりやすい富と美意識の指標となった。